8.遺伝子診断とは?

 狭い意味では遺伝子診断(35)は、疾患や機能異常を引き起こす遺伝子変異の有無を検出するために、人の血液や、場合によっては体液や組織の細胞から採取したDNAを解析することを言います。染色体の一部や、ときとして全部が消失したり挿入されたりするような大きなDNAの変化が起きることもあり、その場合は顕微鏡下で確認できます。また極めて小さな変化、たとえば一塩基が追加されたり消失したり置き換わる場合も起こりえます。その結果、遺伝子の過剰発現(36)が起こったり、不活性化されたり、遺伝子そのものが完全に無くなったりします。ときには、染色体に転移や転座が起こったため遺伝子が永久に発現しなかったり、また適切なタイミングでその発現が調整されなくなってしまったりすることがあります。

 広い意味での遺伝子診断には、染色体や遺伝子の研究に加え、遺伝子変異の結果作られる異常なタンパクの有無を検出するための生化学検査も含まれます。