24.今ある選択肢は?

 すでに、私たちはがん予防、早期発見について多くの知識を得ています。遺伝子診断の最適な利用方法が確立するのを待つ必要はありません。健康的な生活と、医師による定期健診−それぞれの疾患に応じた、乳房レントゲン撮影や前立腺検査、皮膚検査(82)、子宮がん検査を行うことは全ての人に大切なことです。喫煙、過度の日光浴、必要以上の放射線照射被爆といったがんの原因を回避することもできます。がん家系にある人はがんの予防に関して特に慎重になる必要があり、主治医に自分の家系のことを伝えて十分注意を払ってもらうようにするべきでしょう。極めて強いがん多発家系(複数の近い血縁者ががんにかかっており、特に若年発症で2世代以上に渡る家系)の人は20代30代より頻回に診断を受けるようにするのが好ましいでしょう。がん予防のための外科手術も選択肢の1つです。しかし、手術を受けようとする人が知っておかねばならないのは、それはがんが今後絶対に起こらないという保証にはならないと言うことです。現在進行中の発がん予防の研究に参加するという選択肢もあるでしょう。

 遺伝子診断のことを真剣に考えるのに、その遺伝子診断が実際に受けられるようになるまで待ってはいられません。遺伝子診断を受けることができるようになれば、あなたはそれを受けたいですか?あなたの家族に受けさせたいですか?それを受ける準備はできていますか?そしてプライバシーや差別問題に対して社会は何をすべきだと思いますか?遺伝子診断は未だ世に広く行きわたってはいませんが、今この瞬間にも遺伝子は発見されています。未来への準備は少しずつですが確実に進められています。