頭頸科・甲状腺腫瘍科

頭頸科・甲状腺外科について

頭頸部がんの外科治療、放射線治療、化学療法などを専門に治療を行う診療科です。代表的な頭頸部がんとして「舌がんをはじめとする口腔がん」「咽頭がん」「喉頭がん」「唾液腺がん」「副鼻腔がん」「頸部食道がん」などがあります。「甲状腺がん」も当科で受け持っています。
四国がんセンターは頭頸部がん診療専門医研修施設、日本内分泌甲状腺外科専門医認定施設、日本気管食道科学会研修施設、日本耳鼻咽喉科学会専門医研修施設などに認定されており、松山市内だけでなく愛媛県全域および他府県の医療機関からも紹介を受けています。

診療実績

頭頸部がん新患症例数 (年間100例以上:頭頸部がん診療専門医研修施設)

2013年
134件
2014年
129件
2015年
135件
2016年
113件
2017年
120件
2018年
128件
2019年
117件
2020年
121件

頭頸部がんの治療について

頭頸部領域は会話や発声、呼吸、嚥下(えんげ)といった複雑な働きをになう部位なので、その治療には耳鼻咽喉科・頭頸部外科医を中心に、放射線治療医、形成再建外科医、歯科医など多くの領域の専門医やスタッフの総力を結集して行う必要があります。治療の内容は手術、放射線治療、抗がん剤治療、分子標的薬治療、免疫治療などさまざまです。

頭頸部がんの手術

頭頸部がんの中には手術が非常に有効で治療の第一選択となるものが多くあります。早期がんでは手術で取り除く範囲も少なくてすみ、内視鏡を用いるなど低侵襲手術が導入されています。
一方で、進行がんではしっかりと摘出したのちに、失われた機能や形態を再建手術で補う方法がとられます。

甲状腺の手術

甲状腺がんのある側だけ摘出する場合と全摘する場合があります。リンパ節転移があればリンパ節郭清術を併用します。
傷については目立ちにくいように皺に合わせて横に切開します。進行した甲状腺がんではしっかり切開線を延長したうえで確実に腫瘍摘出することが最優先になりますが、良性腫瘍や一部のがんではより小さな傷口で腫瘍摘出が可能な内視鏡手術(VANS法)が導入されています。
また、甲状腺のすぐ裏には声を出すための神経(反回神経)が走っており、手術後に声がすれなどの症状が出ることがあります。当科では術中に神経モニタリングを行いながら神経温存に努め、術後には音声リハビリも行う体制をとっています。がんのために神経が残せない場合でも神経再建や喉頭形成術といった声を出しやすくする治療を行っています。

頭頸部の再建手術

がんを完全切除するために同時に失われた部分をご自分の体の一部を移植することで補う手術のことを再建手術といいます。なかでも再建が必要な部位へ離れた場所から組織を持ってくる手術を遊離組織移植術といいます。代表的なのは前腕皮弁、腹直筋皮弁、前外側大腿皮弁、遊離空腸、肩甲骨皮弁、腓骨皮弁などです。移植の際には、手術用顕微鏡を用いてこれらの組織を養っている血管と首周りの動静脈とをつなぎ合わせて血流を確保する必要があります。
進行した頭頸部がんに対する拡大根治切除+遊離組織移植による当院での再建術の移植成功率は96.7%(145/150例)です。また、過去5年間に進行舌がんに対して、舌亜全摘術+再建手術を組み合わせた14名のうち12名の方が退院時には完全に口から食事ができるようになりました。

頭頸部がんに対するがん光免疫治療について

頭頸部がんに対する新しい治療法としてがん光免疫治療が認可されました。対象は従来の標準治療では制御できない病状で、一定の条件を満たしている方に限られますが、第4の治療として注目されています。
特殊な装置や環境整備が必要となりますので現在施設認定に向けて準備中です。(中四国地方では岡山大学、広島大学、鳥取大学、四国がんセンター)

治験・臨床研究について

四国がんセンターでは積極的に治験・臨床試験を行っています。
代表的なものとして以下の臨床研究を行っています。

  1. 1.StageⅠ-Ⅱ舌癌に対する予防的頸部郭清に関するランダム化比較試験
    (JCOG1006)
  2. 2.頭頸部癌化学放射線療法における予防領域照射の線量低減に関するランダム化比較試験
    (JCOG1912)
  3. 3.頭頸部癌全国症例登録システムの構築と臓器温存治療のエビデンス創出(AMED)
  4. 4.頭頸部表在癌経口的手術後の異時性多臓器癌の早期発見による予後への影響と発生リスクと予防方法の検討に関する他施設共同前向きコホート研究
    (TOS-J-2trial)
  5. 5.頭頸部がん治療終了症例における予後予測についての多機関前向き観察研究

以下の新規治療薬の治験を行っています。

  1. 1.アンドロゲン受容体(AR)陽性の局所進行または再発転移性唾液腺癌患者を対象とした性腺刺激ホルモン(GnRH)アゴニスト併用におけるアパルタミドの有効性および安全性を評価する非盲検第Ⅱ相試験(登録終了)
  2. 2.再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌を対象としてAN2025とパクリタキセル単独投与を比較評価する試験(登録中)

外来表

予約患者さん優先となります。
初診の方はなるべくFAX予約をご利用ください。

月曜日
門田、青井、田原/相原
火曜日
担当医(午前)
水曜日
門田/田原、青井、相原
木曜日
担当医(午前)
金曜日
青井、田原、相原/田口

※診療担当は変更する場合がありますので、事前にご確認ください。

スタッフ紹介

統括診療部長門田 伸也(もんでん のぶや)

専門領域

頭頸部外科
甲状腺外科

認定資格
  • 日本頭頸部外科学会 頭頸部がん専門医 指導医
  • 日本内分泌外科学会 専門医 指導医
  • 日本気管食道科学会 気管食道科専門医
  • 日本耳鼻咽喉科学会 専門医 専門研修指導医
  • 日本甲状腺学会 専門医
  • 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
  • 麻酔科標榜医

頭頸科・甲状腺腫瘍科医長木谷 卓史(きたに たかし)

専門領域

耳鼻咽喉科
頭頸部外科
甲状腺外科

認定資格

医師相原 栞(あいばら しおり)

専門領域

耳鼻咽喉科
頭頸部外科

認定資格

医師田原 寛明(たはら ひろあき)

専門領域

耳鼻咽喉科
頭頸部外科

認定資格

医師(レジデント)田口 佳典(たぐち よしのり)

専門領域

耳鼻咽喉科
頭頸部外科

認定資格