病理科

病理科について

病理科とは病理学的な知識を持つ専門家(病理医)が、診療の貢献する部門です。標榜可能診療科としては、『病理診断科』が指定されているため、当院も公示は『病理診断科』としていますが、病理医が出来ることは単に診断だけにとどまらないと言う信念の元『診断』という言葉を削除した『病理科』という名称で院内標榜しています。
病理というのは、『気を解する』という意味が込められた和製漢語です。病理医は病変を顕微鏡で見て、この病気がなんであるかを診断するという仕事をおもにしています。顕微鏡大のレベルでは、病気の本質が見た目、すなわち形態の変化に現れます。今では画像検査や遺伝子検査など多くの病気を知る方法がありますが、最近まで、形態の変化をみることが医学の研究上あるいは診断上の最高の手法でした。そこで、形態的な変化で病気を研究することを『病理学』、診断することを『病理診断』といいます。がんの治療は、重大な影響を人体に及ぼすので、開始するに当たって『確実な証拠』が必要になります。今日でも、がんの確実な証拠は顕微鏡で直接見て行う病理診断です。四国がんセンターの病理医は、がん専門病院として多数のがん症例を担当する上、病理医の参加する院内カンファレンスが多くあり、臨床病理学的な経験を積むことが出来ます。このことが当院の病理診断を支えています。

診療実績

2020年 年間
生検・手術症例 6,343件 
うち 悪性境界悪性3,691件
細胞診 5588件 
うち 悪性・悪性疑い・疑陽性症例 1,081件

病理外来の開始

病理医が自院で行った病理診断やセカンドオピニオンとして他院の病理診断を直接患者さんに説明することを『病理外来』と言います。病理診断について患者さんが直接説明を受けることで自身のがんに対する理解度があがり治療に前向きになれるという効果があるとされています。日本では、諸般の事情で広まっていませんが、そもそも病理診断について病理医から直接説明を受けることは患者の当然の権利だと言う考えもあります。病理外来は現在中四国で4施設しか行っていませんが、四国がんセンターでも2020年度中に開始する予定です。

行っている臨床試験について

  • 「DPC とがん登録を軸としたデータベース拡充・連結に関する研究」-病理診断支援システム情報の結合 (2016年度〜)
  • 国立病院機構内に組織した『病理診断ネットワーク』によるデジタルパソロジーをつかった病理診断ダブルチェックの実現性と有効性に関する研究 H31-NHO(癌般)-04 主任研究者 寺本典弘
  • その他、多数

その他 四国がんセンター病理受託検査

四国がんセンターでは地域のがん診療に貢献するため、病理組織検査を受託します。
県医師会に所属する病院・診療所各位
四国がんセンターでは病理検査診断機能を愛媛県医師会に所属する病院・診療所の皆様も活用していただけるよう、病理受託検査を始めました。
今回提供するシステムは病理医が不足している地域の現状を鑑み当院で整えている病理医と病理診断システムの体制を皆様の便利のために提供することが目的です。
「四国がんセンター病理受託検査サービス」は検体のお預かりから報告まで平日にして4日を予定しています。当院で標本作製・病理診断を行い、カラープリント付き報告書をお届けします。
当院はがん専門病院として悪性腫瘍の診断に豊富な経験があります。2人の病理専門医によるダブルチェックを行います。疑問例・困難例に関する問い合わせにも答えます。
このサービスで病理診断された患者さんの治療が当院で行われる場合には、『病理標本や診断を添付する必要がない』、『病理診断に疑問があって追加生検を行う』というケースが生まれないという利点があります。紹介医との病理診断の解離によるトラブルも起こりません。
これらにより患者負担軽減やサービス向上に貢献できるものと期待しています。報告書のサンプルをご覧ください。
なお本サービス開始にあたり検体の搬送は福山臨床検査センターに協力をお願いしました。
本病理受託検査サービスが医師の方々のお役に立つことができれば幸いです。
検体依頼の問い合わせは以下までお願いします。

福山臨床検査センター 松山支所
電話番号:089-974-1314 
ファックス番号:089-974-1304
四国がんセンター・病理 寺本典弘
電話番号:089-999-1111(内7421) 
ファックス番号:089-999-1178

スタッフ紹介

がん予防・疫学研究部長 病理科医長併任寺本 典弘(てらもと のりひろ)

専門領域

診断病理・その他の領域

認定資格
  • 日本病理学会 病理専門医
  • 日本病理学会 研修指導医
  • 日本病理学会 分子病理専門医(暫定)
  • 日本病理学会 学術評議員
  • 日本臨床細胞学会 細胞診指導医
  • 日本臨床細胞学会 評議員
  • 愛媛県臨床細胞学会長

医師高畑 浩之(たかはた ひろゆき)

専門領域

診断病理

認定資格
  • 日本病理学会 病理専門医
  • 日本病理学会 研修指導医
  • 日本病理学会 分子病理専門医(暫定)
  • 日本臨床細胞学会 細胞診指導医