呼吸器内科について
肺がん治療を行っています
検診などで肺がんを疑われた患者さんの多くが呼吸器科を受診されます。私たちは、呼吸器外科や放射線診断科、放射線治療科と連携して、肺がんの診断(気管支鏡やCTガイド下針生検)から、患者さん一人一人の治療方針決定まで行います。
患者さんに合った治療を提案します
肺がんの抗がん剤の種類は医学の進歩とともに実に多様化しています。また、しばしば抗がん剤と放射線治療を組み合わせた治療も行われ、副作用にも注意が必要です。私たちは、病状や治療方針については、患者さん・ご家族の心に寄り添いながら適切な形でお話しし、納得し安心して治療を受けられるよう配慮しております。また、患者さんの病状に合わせて、当院の緩和ケア内科や居住地域の病院や緩和ケア専門施設との連携体制をとる事で患者さんの苦痛を和らげ、安心して治療を継続出来るように配慮しています。
治験・臨床試験について
肺がんのよりよい治療方法の開発を目指して、数多くの臨床試験が行われています。より有効な治療法の開発は四国がんセンターの社会的使命であるため、臨床試験や新薬の治験に積極的に取り組んでおります。
抗がん剤治療について
抗がん剤治療は化学療法とも呼ばれますが、がん細胞を減少させ増殖を抑える治療法です。注射または飲み薬によって投与された抗がん剤は、血流に乗って全身に運ばれるため、あらゆる臓器にあるがん細胞に効果が期待されます。この化学療法には、大きく3種類に分類され、「細胞障害性抗がん剤」、「分子標的薬」、「免疫療法」になります。
細胞障害性抗がん剤
がん細胞は正常細胞よりも著しく速く分裂し、増殖しています。細胞の分裂を抑える薬が細胞障害性抗がん剤です。この細胞障害性抗がん剤のみを指して『抗がん剤』と言われることもあります。患者さんの状態やこれまでの治療歴に応じて、2剤併用もしくは単剤のみで治療を行います。患者さんの状態、薬剤の副作用などを考え合わせて、薬剤を適宜選択します。
分子標的薬
肺がんの細胞の中には、細胞の増殖にかかわる遺伝子に異常が見られるものがあります。医学の進歩により、これらの異常をターゲットとした『分子標的薬』が開発されてきており、2021年4月現在、6種類の標的分子(EGFR, ALK, ROS1, BRAF, NTRK, MET)に対し、計15種類の薬剤が承認されています。肺がんの診断に用いた検体を使用して、もしこれら標的分子に特定の異常がある事が分かれば、そのタイプに合った適切な分子標的薬を使用することで、高い治療効果が期待できます。このための検査は治療方針に大きく影響するため、大切なものとなります。またこの検査には、十分量のがん組織の採取が必要であるため、再度、組織採取をし直す必要がある場合もあります。
免疫療法
さらに近年、リンパ球などの免疫細胞を活性化させる事で肺がんの進行を食い止める治療としてニボルマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、イピリムマブといった免疫チェックポイント阻害薬による免疫療法の有効性が示され、本邦でも承認されています。この免疫療法は免疫細胞ががん細胞を攻撃する力を高める事でがんを縮小させ、また縮小が得られた場合には従来の化学療法よりも長期にがんの進行を抑えられる場合がある事が示されています。また、細胞障害性抗がん剤治療と併用する事でより効果を高められるというデータも示されており、今後、肺がんの化学療法において免疫療法が中心的役割を果たす事が期待されています。
ただし免疫療法はすべての肺がん患者さんに有効という訳ではない事、免疫療法にも副作用があり重篤になる場合もある事、免疫療法を行う事が危険な患者さん(重い副作用が出やすい患者さん)もいることが知られており、適切な管理の下に施行されるべき治療法である事も重要なポイントです。当院においてはこの免疫療法を、行うべき適切なタイミングで患者さんにお示し、適切に治療を行っております。
外来表
内科 |
内科新患 |
|
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月曜日 |
加藤・近藤 |
加藤 |
火曜日 |
二宮・加藤 |
加藤 |
水曜日 |
上月・二宮 |
上月 |
木曜日 |
上月・加藤 |
– |
金曜日 |
二宮・近藤 |
二宮 |
スタッフ紹介
臨床研究センター長上月 稔幸(こうづき としゆき)
- 専門領域
呼吸器
がん薬物療法
- 認定資格
- 日本医師会 認定産業医
- 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
- 日本呼吸器学会 呼吸器専門医
- 日本内科学会 総合内科専門医
- 日本内科学会 認定教育施設指導医
- 日本内科学会 認定内科医
- 日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医
- 日本臨床腫瘍学会 指導医
化学療法科医長二宮 崇(にのみや たかし)
- 専門領域
呼吸器疾患
がん薬物療法
- 認定資格
- 日本呼吸器学会 呼吸器専門医
- 日本内科学会 総合内科専門医
- 日本内科学会 認定内科医
- 日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医
医師加藤 有加(かとう ゆか)
- 専門領域
呼吸器疾患
- 認定資格
- 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
- 日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医
医師近藤 晴香(こんどう はるか)
- 専門領域
呼吸器疾患
- 認定資格
実施中の臨床試験
- 固形癌における免疫応答解析に基づくがん免疫療法の効果予測診断法確立に関する多施設共同研究
- EGFR遺伝子変異陽性肺癌に対するオシメルチニブ後のエルロチニブ+ラムシルマブ療法の有効性をreal world dataを用いて検証する多施設共同後ろ向き観察研究 (CS-Lung006試験)
- 悪性中皮腫に対する遺伝子変異と臨床的背景の特徴を明らかにするための後視的観察研究
- がん診療におけるリアルワールドデータ収集に関する多施設共同研究
- 限局型小細胞肺癌(LS-SCLC)患者の治療パターン及び予後に関するリアルワールド研究(J-SMART試験)
- EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌におけるオシメルチニブ早期耐性、長期奏効患者の特徴を明らかにするための後ろ向きコホート研究
- 肺癌における周術期個別化医療の確立を目指した遺伝子スクリーニングと微小残存病変のモニタリングのための多施設共同前向き観察研究(LC-SCRUM-Advantage/MRD)
- がん診療に関するリアルワールドデータ(RWD)の網羅的収集および利活用に関する多施設共同研究(CONNECT2プロジェクト)
- 術後再発または根治的CRT不能Ⅲ期またはⅣ期の非小細胞肺癌(NSCLC)で初回化学療法としての免疫チェックポイント阻害剤(ICI)±細胞障害性抗がん剤(chemo)治療の治療有効例の臨床的背景とその経過を検討する後ろ向き観察研究 (OLCSG2302)
- 実臨床における胸腺癌に対するレンバチニブの有効性・安全性を調査する多施設共同後方視的研究
- 「非小細胞肺癌の術後局所再発における化学放射線療法および化学放射線療法後デュルバルマブ維持療法の有効性および安全性を検討する多機関共同後ろ向き観察研究(NEJ056)」の実施について
- 「非小細胞肺癌患者における免疫チェックポイント阻害薬治療と臨床的因子の関連性に関する後方視的観察研究」へご協力のお願い (Liquid Biopsy Study)
- CA209-64A:未治療進行または再発非小細胞肺がんを対象としたニボルマブ+イピリムマブ±化学療法併用療法の日本における治療実態および有効性と安全性に関する観察研究(LIGHT-NING)
- ニボルマブ単剤治療を受けた非小細胞肺癌患者の観察研究
- 当院においてアレクチニブを用いて肺癌の治療を受けられた方およびそのご家族の方へ