原発不明がん診療科

原発不明がん診療科について

原発不明がんとは「明らかながんでありながら、注意深い全身検索にも関わらず原発部位が明らかにならない腫瘍」です。離れた別の臓器にがん細胞がうつり増殖したものを転移巣といいますが、転移巣のみ明らかになって、その大元がわからないがん、ということです。原発部位が分からないということが共通であり、様々な臓器由来の腫瘍が含まれます。原発部位は画像診断と病理診断、血液検査での腫瘍マーカーなどで総合的に診断します。当初は原発不明と思われても、大半の方は原発部位が検査で確定します。本当に原発部位がわからないがんを、真の原発不明がんといいますが、これは悪性腫瘍のうち3-5%であるといわれています。

四国がんセンターでは原発不明がんの専門外来を2016年5月から開設しています。

当科の方針としては、治療の確定のために、画像診断(CT、PET-CT、MRI等)と組織診断(生検、胸腹水を用いた組織診等)、腫瘍マーカー検査を各診療部門が連携してできるだけ短時間に行います。診断を急ぐ理由としては、患者さんとご家族が診断に時間を取られている間不安になられるのを防ぐためと、腫瘍は原発巣によって性質や治療法が異なるため、的確な治療法を速やかに決定し、それ以上病気を進行させないためです。
原発不明がんにおいては、ある組織タイプでは薬物療法がよく効くグループがあり、患者さんの予後改善につながる可能性があることから大変重要です。また病理診断では、腫瘍、リンパ節、皮膚転移の組織生検といった検査可能なものは急いで行うとともに、たとえば胸水や腹水から細胞を集めて特殊な方法で組織学的検査を行うことも可能です。また臓器に特有な蛋白質の発現やウイルス感染、遺伝子異常などを調べたりします。画像診断で予想された臨床診断が、組織診断で覆ったケースも経験しています。原発不明がんは診断に苦慮することが多いのです。

原発部位が特定できた場合は、その原発部位のがん治療ガイドラインに沿った薬物療法を行います。検索開始から1か月経過しても原発巣が不明な場合には、「原発不明がん診療ガイドライン」に従って、プラチナ製剤とタキサン製剤の併用化学療法を開始することもあります。治療が遅れることを防ぐためです。原発不明がん診療科では2016年5月から2022年3月まで114例の原発不明がん症例を診察しています。原発不明がんの様々なケースを各診療科が参加するカンファレンスで検討し、治療方針決定をしています。化学療法を行うことができ、かつ治療が奏効した患者さんは約7割おられます。最近では、特定の遺伝子変異がある患者さんに対して治療を行うことも可能となり、免疫チェックポイオント阻害剤も2021年12月から適応のある方に使えるようになりました。

原発不明がんは、各診療科のスタッフが力を合わせていかないと、速やかな診断・治療は困難なのです。当院ではがんセンターとしていち早く原発不明がん診療に目を向け、迅速な診断治療が可能な診療体制を構築しています。病院の総合力が問われていると肝に銘じております。原発不明がんに関わる診療スタッフがチームとして診断・治療を行い、原発不明がんに苦しむ患者さん・家族の方たちのお役にたてるよう努力してまいります。

外来表

月曜日
火曜日
青儀(午後)
水曜日
木曜日
金曜日

スタッフ紹介

臨床研究推進部長青儀 健二郎(あおぎ けんじろう)

専門領域

消化器がん
乳がん

認定資格
  • 日本外科学会 外科指導医
  • 日本外科学会 外科専門医
  • 日本外科学会 認定医
  • 日本乳癌学会 乳腺専門医
  • 日本消化器外科学会 消化器外科指導医
  • 日本消化器外科学会 消化器外科専門医
  • 日本消化器外科学会 認定医
  • 日本臨床腫瘍学会 暫定指導医
  • 日本癌治療学会 臨床試験登録医
  • 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
  • マンモグラフィ検診精度管理中央委員会 検診マンモグラフィ読影認定医