泌尿器科について
四国がんセンター泌尿器科では、エビデンスレベルの高いデータに基づいた最良の医療を過不足なく提供することを目標に掲げ日々診療に臨んでいます。
また、当科は愛媛県下で唯一JCOG(Japan Clinical Oncology Group: 日本臨床腫瘍研究グループ)のメンバーになっていますし、全国の高度がん診療施設が組織する全国がん(成人病)センター協議会(全がん協:31施設)にも加入しています。全がん協施設間に構築された診療支援システム(がんネット)により、常時情報交換を行いながら診療機能の向上、臨床研究の推進に努めています。
泌尿器科で扱う悪性腫瘍は、腎がん、尿路上皮がん(膀胱がん、腎盂がん、尿管がんが含まれます)、前立腺がん、精巣がんなどです。これらの悪性腫瘍に対する治療は近年めまぐるしい発展を遂げています。ロボット支援手術の導入、ヨウ素125密封小線源治療、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤による治療などです。当科ではこういった新しい治療にもすべて対応しております。しかし一方で、新しいことばかりに気をとられ、これまで行ってきた治療の結果を検証しなければ発展はなく、患者さんにフィードバックすることは決してできないと考えています。当科では常に臨床データをアップデートしており最良の治療についてカンファレンスを行っています。
一人の患者さんを治療する際には、我々泌尿器科医のみの力では不十分です。看護師をはじめ放射線科医(CTなどの画像検査)や病理医(顕微鏡での診断)など各方面の協力が必要不可欠です。当院ではどの部署にもがん診療に熟練したスタッフが診療に当たっており、安心して治療が受けられます。また、我々自身も日々スキルアップに努めています。
最後に、治療後のQOL(生活の質)の変化は患者さんにとって非常に重要なことで、決して無視することはできません。治療方針決定の際にはこのようなQOLの変化にも重点を置き、患者さんとの対話により決定しています。もし、がんと診断されて悩まれているようなら四国がんセンターに足を運んでください。
診療実績について
2024 |
2023 |
2022 |
2021 |
2020 |
2019 |
|
|---|---|---|---|---|---|---|
根治的腎摘除術 (ロボット支援/鏡視下/開腹) |
9 |
12 |
7 |
12 |
7 |
12 |
腎部分切除術 (ロボット支援/開腹) |
18 |
11 |
16 |
11 |
15 |
9 |
腎尿管全摘 (ロボット支援/鏡視下/開腹) |
10 |
10 |
16 |
13 |
16 |
8 |
ロボット支援膀胱全摘 |
12 |
11 |
13 |
13 |
9 |
4 |
骨盤内蔵全摘 |
2 |
4 |
3 |
2 |
3 |
1 |
新膀胱(ICUD) |
2 (1) |
1 |
2 |
5 |
3 |
3 |
回腸導管(ICUD) |
12 (9) |
14 |
13 |
8 |
7 |
2 |
経尿道的膀胱腫瘍切除術 |
132 |
112 |
134 |
149 |
122 |
156 |
ロボット支援前立腺全摘 |
102 |
97 |
85 |
79 |
81 |
67 |
小線源療法(ヨウ素125) |
8 |
13 |
9 |
13 |
7 |
7 |
前立腺生検 |
239 |
327 |
268 |
205 |
181 |
201 |
高位精巣摘除 |
2 |
2 |
4 |
3 |
5 |
4 |
人工尿道括約筋植込・置換術 |
1 |
1 |
3 |
2 |
4 |
8 |
特徴的診療
プルヴィクトによる放射性リガント療法(2026年2月~スタート)
- 治療の対象は、PSMA陽性の遠隔転移(※1)がある去勢抵抗性前立腺がん(※2)患者さんです。
※1:がん細胞が最初に発生した部位(原発巣)から離れた臓器や組織に移動し、新たに腫瘍を形成すること
※2:ホルモン療法を受けているにもかかわらず、前立腺がんが進行する状態のこと
PSMA陽性かどうかの検査についてはこちらをご覧ください。 - 放射性リガンド療法は、放射線を放出するお薬を注射して、からだの中で放射線をがん細胞に照射し、がんを攻撃する治療です。
- プルヴィクトは放射性リガンド療法のお薬です。
- プルヴィクトがPSMAとくっつき、がん細胞の中で放射線を放出することで、前立腺がん細胞を攻撃します。
- 6週間ごとに、最大6回投与します。全体の治療期間は約8か月間です。
プルヴィクトによる治療の流れ
- 治療前日に入院します
- 治療薬を点滴または注射します
- 治療後、1泊2日~2泊3日入院 ※入院期間が長くなることがあります
- 上記を6週間ごとに最大6回繰り返します
検査および治療の適用条件などの詳細については、治療経過等を把握している医療機関(主治医)へご相談ください。
ロボット支援手術
泌尿器科では前立腺がんと腎がんに対する腎部分切除術に対してロボット支援手術が保険適用で可能です。当院ではこれらの手術も1日2例可能になり、初診から1~2ヶ月以内に手術可能です。現在まで約500例に対して行っており、手術成績も良好です。また、2018年4月からは膀胱がんに対してもロボット支援手術が可能になりました。


人工尿道括約筋埋め込み術
前立腺がんに対する前立腺全摘除術は、手術手技の向上により術後の最大の合併症である尿失禁に関しても良好な成績を収めるようになってきました。特に最近急速な進歩を遂げてきたロボット支援手術ではさらに成績が良くなっています。
しかし、ロボット支援手術をもってしても術後の尿失禁は残念ながらゼロにはなっていません。中には1日の尿パッド使用枚数が5枚以上必要な方もおられます。これまでは尿失禁に対しては薬物療法が主体でしたが、十分な効果があるとは言えず、尿失禁に関しては有効な治療法がありませんでした。
しかし、人工尿道括約筋が開発されてようやく尿失禁の改善が出来るようになりました。当院でもこの手術を2年前より開始し、良好な結果とともに、患者さんにも満足していただけるようになりました。
1日の尿パッドが5枚以上必要な前立腺全摘除術後の患者さんは一度相談に来てください。もちろん他院で手術を受けていても問題ありません。
外来表
月曜日 |
橋根、瀬戸、曽我部 |
|---|---|
火曜日 |
手術日(緊急対応は可) |
水曜日 |
橋根、辻岡、曽我部/深谷 |
木曜日 |
手術日(緊急対応は可) |
金曜日 |
辻岡、深谷、瀬戸 |
※診療担当は変更する場合がありますので、事前にご確認ください。
スタッフ紹介
がん診断・治療開発部長橋根 勝義(はしね かつよし)

1988年徳島大学卒業、1996年徳島大学医学博士取得
- 専門領域
泌尿器がん
- 認定資格
- 日本泌尿器科学会 認定専門医
- 日本泌尿器科学会 指導医
- 日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会 泌尿器腹腔鏡技術認定医 泌尿器ロボット支援手術プロクター認定医
- 日本内視鏡外科学会技術認定医
- 日本ロボット外科学会専門医(国際B)
- 泌尿器科da Vinci Xi支援手術教育プログラム修了
- 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
- 日本医師会認定産業医
- 卒後臨床研修指導医
- 日本医療安全学会 高度医療安全推進者認定
- 医療の質・安全学会 医療安全管理者養成研修修了
泌尿器科医長瀬戸 公介(せと こうすけ)
- 専門領域
泌尿器科一般
- 認定資格
- 日本泌尿器科学会 認定専門医
- 日本泌尿器科学会 指導医
- 泌尿器科da Vinci Xi支援手術教育プログラム修了
医師辻岡 卓也(つじおか たくや)
- 専門領域
泌尿器科一般
- 認定資格
医師深谷 友祐(ふかたに ゆうすけ)
- 専門領域
泌尿器科一般
- 認定資格
医師曽我部 裕文(そがべ ひろふみ)
- 専門領域
泌尿器科一般
- 認定資格
海外出張レポート
当科では海外主要学会への参加を積極的にサポートしています。
行っている臨床試験
前立腺がん
- 「前立腺がん患者さんの診断時背景因子と初期治療および治療経過に関する実態調査研究」へのご協力のお願い
- 愛媛県下前立腺全摘術の治療成績および予後因子に関する多施設共同研究
- 前立腺全摘除術の治療成績および予後因子の検討
- 当院における前立腺がんに対する薬物療法の治療成績
- 早期前立腺癌に対するPSA監視療法における〔-2〕proPSAおよびS2,3PSA%の有用性の検討-Prostate Cancer Research International: Active Surveillance(PRIAS) -JAPAN付随研究
- 監視療法患者の前立腺病理に対するAI解析研究(PRIAS-JAPAN AI研究)
- up-front 療法後にRa-223投与を受けた転移性去勢抵抗性前立腺がん症例に対する後ろ向き研究
- 前立腺がんに対する放射線治療の有用性に関する検討
- 前立腺生検の検討
- 転移性前立腺癌に対するアンドロゲン遮断療法の治療効果を予測する計算式の開発に向けた多施設共同研究
- JCOG2011:High volume転移を認める内分泌療法感受性前立腺癌患者に対する抗アンドロゲン療法への局所放射線治療併用の意義を検証するランダム化第Ⅲ相試験
- JCOG2011A1:High volume転移を認める内分泌療法感受性前立腺癌患者に対する抗アンドロゲン療法への局所放射線治療併用のPRO-QOL観察研究
- JCOG-バイオバンク・ジャパン連携バイオバンク(JCOG2011附随研究)
- 低リスク及び中間リスク前立腺がんに対する監視療法:多機関共同前向き研究(PRIAS-JAPAN)
- 相同組換え修復関連遺伝子変異を有する去勢抵抗性前立腺癌に対する治療実態と治療成績(多機関共同前向き観察研究)(JUOG-HRRCAP)
- 前立腺癌に対するホルモン療法により骨格筋量に影響を及ぼす因子探索
尿路上皮がん
腎がん・腎細胞がん
- 「愛媛県における腎癌薬物療法の治療成績および予後因子に関する多施設共同研究 DARC-MICAN Study(Drug Assessment of Renal Cancer-Medical Investigation Cancer Network Study)」の実施について
- 転移性腎細胞がん患者を対象としたI-O based combination therapy後のTKI治療の有効性と安全性に関する多施設共同後方視的観察研究
- 腎がんに対する手術施行症例での周術期成績および予後因子の検討
- 腎がん薬物療法の治療成績および予後因子に関する検討
- JSRC-2401:転移性腎細胞癌に対する免疫チェックポイント阻害薬併用療法後のcytoreductive nephrectomyの有用性および予後因子の探索研究
- JSRC-2402:非転移性の非淡明細胞癌における根治術後長期無再発生存率の大規模多施設後方視的研究
- JCOG1905:進行性腎細胞癌に対するPD-1経路阻害薬の継続と休止に関するランダム化比較第Ⅲ相試験(STOP study)
- JCOG1905A1:PD-1経路阻害薬の休薬に関する血液検体による効果予測因子および予後因子に関する探索的研究
- 腎癌における免疫チェックポイント阻害薬使用時のバイオマーカーの検討
膀胱がん
- 膀胱癌に対する根治的膀胱全摘除術の包括的調査:多機関共同観察研究
- 愛媛県下膀胱全摘術の治療成績および予後因子に関する多機関共同研究(RARC-MICAN)
- 筋層非浸潤性膀胱がんの治療成績に関する検討
- 日本語版Bladder Cancer Index(BCI)を用いた膀胱がん術前後のQOLを評価する多施設共同前向き観察研究
精巣腫瘍
泌尿器がん一般
- 「National Clinical Database (NCD) 泌尿器科症例登録」の実施について
- 泌尿器領域における神経内分泌腫瘍(NEC)の予後や治療効果に関連するバイオマーカーの探索
- 外科手術用手袋と下肢ストッキングを用いた圧迫療法のDocetaxel起因性末梢神経障害の予防効果についての探索的臨床試験
- 癌薬物療法後期段階における薬物療法の有用性に関する無作為化比較試験(TRUE trial)




