咽頭・喉頭がん
咽頭は上咽頭・中咽頭・下咽頭に分類されます。
下咽頭は食道につながっており、食事の通路になります。
喉頭は下咽頭のすぐ前方に接しており、気管につながっています。呼吸や声を出す器官です。
発がんの原因としては、上咽頭がんはEBウイルス、中咽頭がんはヒト乳頭腫ウイルス(HPV)や飲酒・喫煙、下咽頭がんは飲酒・喫煙と部位によって少しずつ異なります。喉頭がんの原因はほぼ喫煙で、高齢の男性に多い特徴があります。近年喫煙人口の減少の影響もあり、やや減少する傾向が見られます。
咽頭・喉頭がんの診断
咽頭や喉頭の病変に対しては細い観察用喉頭内視鏡を鼻から進めることで見つけます。処置用内視鏡を用いて組織採取も可能です。進行度は画像検査を用いて、がんの大きさ、広がり、転移の有無で決定します。
上咽頭がんの病期
T:上咽頭病変 N:頸部リンパ節転移 M:遠隔転移
病期 |
T1 |
T2 |
T3 |
T4 |
---|---|---|---|---|
N0 |
Ⅰ期 |
Ⅱ期 |
Ⅲ期 |
ⅣA期 |
N1 |
Ⅱ期 |
Ⅱ期 |
Ⅲ期 |
ⅣA期 |
N2 |
Ⅲ期 |
Ⅲ期 |
Ⅲ期 |
ⅣA期 |
N3 |
ⅣA期 |
ⅣA期 |
ⅣA期 |
ⅣA期 |
M1 |
ⅣB期 |
ⅣB期 |
ⅣB期 |
ⅣB期 |
中咽頭がん:p16陽性(≒HPV陽性)の病期
がんの原因によって病期分類が異なります。
ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)陽性の場合には治療効果が高いとされます。
T:中咽頭病変 N:頸部リンパ節転移 M:遠隔転移
病期 |
T1 |
T2 |
T3 |
T4 |
---|---|---|---|---|
N0 |
Ⅰ期 |
Ⅱ期 |
Ⅱ期 |
Ⅲ期 |
N1 |
Ⅰ期 |
Ⅰ期 |
Ⅱ期 |
Ⅲ期 |
N2 |
Ⅱ期 |
Ⅱ期 |
Ⅱ期 |
Ⅲ期 |
N3 |
Ⅲ期 |
Ⅲ期 |
Ⅲ期 |
Ⅳ期 |
M1 |
Ⅳ期 |
Ⅳ期 |
Ⅳ期 |
Ⅳ期 |
中咽頭がん:p16陰性・下咽頭がん・喉頭がんの病期
T:咽頭・喉頭病変 N:頸部リンパ節転移 M:遠隔転移
病期 |
T1 |
T2 |
T3 |
T4a |
T4b |
---|---|---|---|---|---|
N0 |
Ⅰ期 |
Ⅱ期 |
Ⅲ期 |
ⅣA期 |
ⅣB期 |
N1 |
Ⅲ期 |
Ⅲ期 |
Ⅲ期 |
ⅣA期 |
ⅣB期 |
N2 |
ⅣA期 |
ⅣA期 |
ⅣA期 |
ⅣA期 |
ⅣB期 |
N3 |
ⅣB期 |
ⅣB期 |
ⅣB期 |
ⅣB期 |
ⅣB期 |
M1 |
ⅣC期 |
ⅣC期 |
ⅣC期 |
ⅣC期 |
ⅣC期 |
咽頭・喉頭がんの治療
咽頭・喉頭がんの治療では発声や嚥下(えんげ:のみこみのこと)、呼吸などの機能がどのくらい残せるかという点とがんの根治性とのバランスを考えながら治療法が決定されます。
一般に早期がんでは内視鏡治療やレーザー治療、喉頭部分切除術など喉頭を温存する手術治療か放射線治療が適用されます。進行がんの手術では喉頭全摘術、下咽頭・喉頭・頸部食道摘出術などが必要となります。頸部リンパ節の郭清術も併用されます。
必要に応じて遊離組織移植術も行われます。喉頭を残すために化学放射線治療(放射線と抗がん剤もしくは分子標的薬の同時投与)が行われる場合もあります。
抗がん剤や分子標的薬などは放射線と併用するほかに、再発転移の際にも組み合わせて使われます。また、ほかのがんに用いられる免疫療法は口腔がんや咽頭・喉頭がんの再発転移の際にも有効とされています。