甲状腺がん

甲状腺がん

甲状腺がんは全がん種の中の約1.3%、年間8000人の方がかかるとされています。
男性よりも女性が3倍多く、若い人にも多いという特徴があります。
頭頸部がん全体での5年生存率が60%程度であるのに対し、甲状腺がんでは90%以上とされ、比較的予後の良いがんです。

甲状腺がんの診断

初期には症状はほとんどなく、検診で偶然見つかる場合も多い病期です。
甲状腺がんの診断には超音波検査が最も有効です。超音波検査でがんが疑わしい場合には細い針で細胞を吸引して診断します。(穿刺吸引細胞診)
病期の決定にはCTなどほかの画像検査を組み合わせて行います。

甲状腺がんの病期

甲状腺がんでは年齢とがんの治りやすさが関連するという特徴があります。
病期分類も年齢によって二つに分けられています。

T:甲状腺病変 N:頸部リンパ節転移 M:遠隔転移

(55歳未満の場合)

病期
T1
T2
T3
T4
N0
Ⅰ期
Ⅰ期
Ⅰ期
Ⅰ期
N1
Ⅰ期
Ⅰ期
Ⅰ期
Ⅰ期
N2
Ⅱ期
Ⅱ期
Ⅱ期
Ⅱ期

(55歳以上の場合)

病期
T1
T2
T3
T4a
T4b
N0
Ⅰ期
Ⅰ期
Ⅱ期
Ⅲ期
ⅣA期
N1
Ⅱ期
Ⅱ期
Ⅱ期
Ⅲ期
ⅣA期
N2
ⅣB期
ⅣB期
ⅣB期
ⅣB期
ⅣB期

甲状腺がんの治療

甲状腺がんの治療の基本は手術です。
がん病変のある側だけとる場合と全摘する場合があります。
リンパ節転移があればその部分もしっかりとります。
甲状腺の裏には声帯を動かす神経(反回神経)が走っており、一緒に切除する必要がある場合もあります。そのため、手術後「声がれ」が出る場合があります。反回神経麻痺の予防・治療には術中神経モニタリングや神経再建の併用、術後音声リハビリなどで対応します。
手術後や再発転移に対しては放射性ヨード内用療法や分子標的薬治療などを必要に応じて選択します。