唾液腺がん
唾液腺には大唾液腺として耳下腺(耳の前)、顎下腺(あごの下)、舌下腺(舌の裏)があります。口腔がんや咽頭がん・喉頭がんのほとんどが「扁平上皮がん」という種類であるのに対し、唾液腺がんはほとんどが「腺がん」です。組織型は更に20以上に細かく分類され、それぞれの振る舞いや悪性度が異なっています。耳下腺腫瘍で痛みや神経麻痺を伴う場合にはがんの可能性を示すサインです。また、顎下腺や舌下腺腫瘍では耳下腺よりも悪性の可能性が高いとされます。
唾液腺がんの診断
細胞の検査として甲状腺がんと同様に穿刺吸引細胞診が用いられます。
唾液腺がんの画像診断には超音波検査やMRIが役に立ちます。
耳下腺の中には顔面神経が何本も走っているのでがんの切除に当たって、神経が残せるか検討します。肺に転移しやすいものもありますので胸部CTやPET-CTなどで評価します。
唾液腺がんの病期
T:唾液腺病変 N:頸部リンパ節転移 M:遠隔転移
病期 |
T1 |
T2 |
T3 |
T4a |
T4b |
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N0 |
Ⅰ期 |
Ⅱ期 |
Ⅲ期 |
ⅣA期 |
ⅣB期 |
N1 |
Ⅲ期 |
Ⅲ期 |
Ⅲ期 |
ⅣA期 |
ⅣB期 |
N2 |
ⅣA期 |
ⅣA期 |
ⅣA期 |
ⅣA期 |
ⅣB期 |
N3 |
ⅣB期 |
ⅣB期 |
ⅣB期 |
ⅣB期 |
ⅣB期 |
M1 |
ⅣC期 |
ⅣC期 |
ⅣC期 |
ⅣC期 |
ⅣC期 |
唾液腺がんの治療
唾液腺がんの治療の基本は手術です。顔面神経を温存すべきかどうかは腫瘍の大きさや位置、悪性度によって判断します。手術後に放射線治療を選択する場合もあります。化学療法については標準的な治療として確立されたものはありませんが、ほかの頭頸部がんに準じた治療を組み合わせることが一般的です。