新型コロナウイルスワクチンに関して

新型コロナワクチン接種の目安

  1. 1.ワクチン接種について
    • 一般的なワクチン接種制限となる発熱や感染などの兆候がなければ、基本的に接種してもらってかまいません。
    • 全身状態やアレルギーのことなど一般的な問診事項は、ご本人と接種医師の判断に一任します。
  1. 2.抗がん剤治療中のワクチンの接種タイミングについて
    • 抗がん剤治療が始まる前であれば、投与開始2週間までに接種を受けてください。
    • 点滴の抗がん剤治療を受けている方は、投与予定日の3日前から投与当日のワクチン接種は、可能な限り避けてください。
    • ホルモン治療や抗がん剤を連日内服する治療を受けている方は、ワクチンを避けるべき時期は特にありません。
  1. 3.注意事項
    • ワクチン接種後も、手洗い、マスク着用、人混みを避けるなどの一般的な感染予防対策は継続してください。
    • 治験・臨床試験参加中の方は接種する前にCRCや主治医に確認してください。
    • ワクチンに反応したリンパ節腫大が起こるため、CTやPET-CTは、接種から4週以上あけて撮影してください。
    • 腋窩(わきのした)のリンパ節を郭清した方は、部位を変えて接種可能です。接種時に申し出てください。
    • 新型コロナワクチン接種とインフルエンザワクチン接種は、同時に接種ができます。
      新型コロナワクチン接種とインフルエンザ以外のワクチン接種は、13日以上の間隔をあけてください。
  1. 4.上記1~3に加えて、緩和ケア受診中の患者さん
    • かかりつけ医や近医に受診できる方は予防接種可能です。
    • 寝たきりで受診も困難な方については、接種をお勧めしません。

がん患者さんに対するワクチンについてのQ&A

Q1.私はワクチン接種の対象ですか?

18歳以上の全ての国民がワクチン接種の対象ですが、現在の政府の方針ではワクチン接種は次のような順番になる見込みです。

  1. 1.医療従事者等
  2. 2.高齢者(令和3年度中に65歳に達する、昭和32年4月1日以前に生まれた方)
  3. 3.高齢者以外で基礎疾患を有する方や高齢者施設等で従事されている方
  4. 4.それ以外の方

65歳以上の方は、がんの有無にかかわらず、2.のタイミングで受けることが可能です。
65歳未満の方で、現在がん治療を受けられている方と基礎疾患のある方は、3.のタイミングで受けることができます。
がん治療が終了し経過観察だけを行っているなど、現在がん治療を受けられていない65歳未満の方は4.にあたります。これらの対象者は状況により変更になる可能性がありますので、市町村等からの最新の情報をご確認ください。

『基礎疾患』には現在次のようなものがあげられています。主治医・かかりつけ医にご相談ください。

3.の「基礎疾患を有する方」に該当する病気等

  1. 1) 以下の病気や状態の方で、通院/入院している方
    1. 慢性の呼吸器の病気
    2. 慢性の心臓病(高血圧を含む。)
    3. 慢性の腎臓病
    4. 慢性の肝臓病(ただし、脂肪肝や慢性肝炎を除く。)

    5. インスリンや飲み薬で治療中の糖尿病又は他の病気を併発している糖尿病
    6. 血液の病気(ただし、鉄欠乏性貧血を除く。)
    7. 免疫の機能が低下する病気(治療中の悪性腫瘍を含む。)
    8. ステロイドなど、免疫の機能を低くださせる治療を受けている
    9. 免疫の異常に伴う神経疾患や神経筋疾患
    10. 神経疾患や神経筋疾患が原因で身体の機能が衰えた状態(呼吸障害等)
    11. 染色体異常
    12. 重症心身障害(重度の肢体不自由と重度の知的障害とが重複した状態)
    13. 睡眠時無呼吸症候群
  2. 2)基準(BMI 30以上)を満たす肥満の方
    *BMI30の目安:身長170cmで体重約87kg、身長160cmで体重約77kg。
Q2.来月、がんの手術を受ける予定です。手術の前に新型コロナウイルスワクチンを受けておいた方が良いでしょうか?

手術直前に新型コロナウイルスに感染し、手術直後に発症した場合には重症化する恐れがあります。もし接種可能であれば、手術前に接種することをお勧めします。
しかし、ワクチン接種後、発熱や体のだるさなどの副反応が出る可能性がありますので、接種の時期につきましては、主治医の先生とよくご相談ください。

Q3.三年前にがんの手術を受けました。その後はがんに対し何も治療は受けておりませんが、定期的に通院中です。ワクチン接種の対象になりますでしょうか?

全ての国民がワクチン接種対象です。その順番は (1)医療従事者等、 (2)高齢者(おおむね65歳以上)、 (3)高齢者以外で基礎疾患を有する方や高齢者施設等で従事されている方、(4)それ以外の方、と想定されています。
経過観察のみでは『基礎疾患を有する方』にはあたりません。基礎疾患に関しては主治医・かかりつけ医にご相談ください。Q&A1もご参照ください。

Q4.現在、抗がん剤治療を受けています。ワクチンを接種した方がよいでしょうか? 受けたほうがいい場合、いつ接種するのが良いでしょうか?

抗がん剤治療中のがん患者さんがワクチンを受けた場合、どのような利点があるのか詳しくわかっていませんが、一定の効果が期待されています。米国がん治療学会は、がん患者さんに対してもワクチンに対しアレルギー等がなければ、ワクチン接種を受けることを推奨しています。

抗がん剤治療を開始予定の方は、抗癌剤治療を始める前に投与を行うことが勧められます。
現在、抗がん剤治療中の患者さんにおいて、いつ投与するのが良いのかに関しては十分わかっておりません。抗がん剤の種類やがんの状態も関係しますので、主治医の先生ともよくご相談ください。

Q5.がん患者の家族です。ワクチン接種を受けた方がよいでしょうか?

新型コロナウイルスは家庭内での感染が多数報告されております。
がん患者さんは免疫が低下していることも多く、もし感染した場合には重症化や死亡のリスクが高くなるとも報告されております。
そのため、ご家族にがん患者さんがいらっしゃる場合には、手指消毒、マスクの着用、3密の回避をとってもらうとともに、家庭内での感染を減らすため、新型コロナウイルスワクチンの接種をお勧めします。