呼吸器外科

呼吸器外科について

四国がんセンター 呼吸器外科の特徴として、松山市内だけではなく、四国中央市・新居浜市の東予から宇和島市・愛南町の南予まで愛媛県・四国全域から来院される患者さんが多いことが挙げられます。
以下の図は、当院で初回治療として手術された肺がん患者さんを住所別に見た場合、愛媛県の各3地域でどれくらいの割合を占めるかを示したものです。各地域から、四国がんセンターに来院されていることが分かります。(愛媛県院内がん登録2015年より)

当院で手術を受けた患者さんの割合

診療実績について

四国1位の肺がん手術数

愛媛県で行われているCT検診により、小さな肺病変でも見つかるようになりました。肺がんの早期発見、早期治療を行うことで、術後5年生存率は全国がん拠点病院内で全国上位です。
当科では年間約250例の手術を行っています。肺がんが約190例、転移性肺腫瘍が約35例、縦隔腫瘍が15例で、肺がんの手術数は四国地方で1位です。
また、近年は80歳以上の患者さんの手術も増えており、高齢者に対する肺がん手術数としては全国トップレベルです。松山市内だけでなく県外からも来院されます。
安全性についても、手術関連死亡は、過去5年間で0.2%という好成績です。

呼吸器外科手術件数

肺がんの手術について

肺がんの3大治療は『手術』、『薬物療法』、『放射線治療』

肺がんの3大治療は『手術』、『薬物療法』、『放射線治療』です。主にがんの種類(非小細胞肺がん、小細胞肺がん)や進行度によって選べる治療が決まってきます。
四国がんセンターでは、手術を行う『呼吸器外科』、薬物療法を行う『呼吸器内科』、放射線治療を行う『放射線治療科』の3科が連携して治療を検討しています。

肺がんの手術:肺葉切除+リンパ節郭清を基準に縮小手術から拡大手術まで

手術対象となるのは主にステージⅠ~ⅡとステージⅢAの一部です。 肺は左右対称ではなく、右の図のように右が上中下の3つの袋、左が上下の2つの袋に分かれています。それぞれの袋を『肺葉』と呼び、それぞれ『上葉』、『中葉』、『下葉』と名付けられています。また、左右の肺に囲まれた領域を『縦隔』と呼び、心臓や食道、気管などの重要な臓器がある場所です。肺はリンパ流が発達し、肺から縦隔へ多数のリンパ節が存在します。肺がんはこのリンパ節にも転移しやすいがんです。

肺がんの手術はがんが存在する肺葉と、そこからのリンパ流があると思われるリンパ節を切除する(これをリンパ節郭清と言います)が最も一般的な手術です。しかし、がんが小さく、リンパ節転移の可能性が低い場合や、呼吸機能が弱い患者さんについては、切除範囲の小さい「区域切除」や「部分切除」を行うことがあります。反対に、がんが太い気管支や血管、周囲の臓器に広がっている場合には、周りの臓器の合併切除を行うこともあります。

手術が困難な場合は放射線治療も選択肢

技術的に手術が可能な肺がんであっても、患者さんの体力的な問題がある場合や手術を希望されない場合もあります。四国がんセンターではこのような患者さんに対して、放射線治療も選択肢の一つとして提案しております。

特徴

四国がんセンターでは、これまでに2400件を超える胸腔鏡下手術を行ってきました

各手術の傷

四国がんセンターでは全手術症例の90%以上を胸腔鏡下手術で行っています。胸腔鏡下手術は、胸腔鏡を用いてモニターを見ながら、4cm前後の傷と3か所の穴から手術を行います。
更に、より精密な手術が可能となったロボット支援下手術(da Vinci)が2018年4月より保険適応となり、当院でも2019年より行っております。

治験・臨床試験について

四国がんセンターでは積極的に治験を行っています
新薬、新治療法は治験を経て確立していきます。詳しくは『治験とは』のホームページをご覧ください。
ステージが進行した肺がんでは、再発率を下げるために、手術前または手術後に薬物治療を追加で行うことがあります。これを、『補助療法』と呼びます。呼吸器外科で行っている治験は、主にこの『補助療法』の新薬についてです。

外来表

月曜日
山下
火曜日
上野
水曜日
山下
木曜日
重松
金曜日
重松

※診療担当は変更する場合がありますので、事前にご確認ください。

スタッフ紹介

院長
山下 素弘
(やました もとひろ)

専門領域

肺がん・悪性胸膜中皮腫・縦隔腫瘍
胸腔鏡手術・拡大手術

認定資格
  • 日本外科学会 外科専門医 指導医
  • 日本呼吸器外科学会 呼吸器外科専門医
  • 日本呼吸器学会 呼吸器専門医
  • 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
  • 臨床研修指導医

院長補佐
外来部長

重松 久之
(しげまつ ひさゆき)

専門領域

肺がん・悪性胸膜中皮腫・縦隔腫瘍
胸腔鏡手術・ロボット手術

認定資格
  • 日本外科学会 外科専門医 指導医
  • 日本呼吸器外科学会 呼吸器外科専門医
  • da Vinci Certificate 取得(ロボット手術)
  • 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
  • 臨床研修指導医

呼吸器外科医長
上野 剛
(うえの つよし)

専門領域

肺がん・悪性胸膜中皮腫・縦隔腫瘍
胸腔鏡手術・ロボット手術

認定資格
  • 日本外科学会 外科専門医 指導医
  • 日本呼吸器外科学会 呼吸器外科専門医
  • 日本呼吸器外科学会 胸腔鏡安全技術認定医
  • da Vinci Certificate 取得(ロボット手術)
  • 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医

医師
植木 貴史(うえき たかし)

専門領域

肺がん

認定資格

実施中の臨床試験

  • JCOG1708:特発性肺線維症(IPF)合併臨床病期Ⅰ期非小細胞肺癌に対する肺縮小手術に関するランダム化比較第Ⅲ相試験
  • JCOG1909:肺葉切除高リスク臨床病期ⅠA期非小細胞肺癌に対する区域切除と楔状切除のランダム化比較試験
  • JCOG1906:胸部薄切CT所見に基づく早期肺癌に対する経過観察の単群検証的試験
  • JCOG1807C:肺尖部胸壁浸潤癌に対する化学放射線療法後の術前後デュルバルマブもしくはデュルバルマブ維持療法を併用した集学的治療に関する単群検証的試験
  • JCOG1916:病理学的N2非小細胞肺癌に対する術後放射線治療に関するランダム化比較第Ⅲ相試験
  • 肺癌登録合同委員会 第8次事業:胸腺上皮性腫瘍の前方視的データベース研究
  • 肺癌登録合同委員会 第9次事業:悪性胸膜皮腫の前方視的データベース研究
  • NHOネットワーク共同研究:間質性肺疾患に合併した気胸症例における治療方針と治療成績の前向きリアルワールドデータ調査
  • 肺切除後肺瘻に対するデジタルモニタリング胸腔ドレナージ法の至適胸腔内圧の検証:多施設共同無作為化比較試験 (トパーズRCT2)
  • 家族性肺癌家系における原因遺伝子異常の解明

他の臨床試験については、当院臨床研究センターホームページの当院で行われている臨床試験をご参照ください。