呼吸器外科について

四国がんセンター 呼吸器外科の特徴として、松山市内だけではなく、四国中央市・新居浜市の東予から宇和島市・愛南町の南予まで愛媛県・四国全域から来院される患者さんが多いことが挙げられます。古くから肺がん治療の外科的治療に携わり、多くの臨床試験・治験にも参加してきた表れだと思われます。
以下の図は、四国がんセンターで初回治療として手術された肺がん患者さんを住所別に見た場合、愛媛県の各3地域でどれくらいの割合を占めるかを示したものです。
(愛媛県院内がん登録2015年より)。
各地域から、四国がんセンターに来院されていることが分かります。
尚、県外居住で愛媛県の病院で手術を受けた肺がん患者さんのうち71%が四国がんセンターで手術を受けています。


診療実績について
四国1位の肺がん手術数

愛媛県で行われているCT検診により、小さな肺病変でも見つかるようになりました。肺がんの早期発見、早期治療を行うことで、術後5年生存率(2004~2007年調べ)は全国がん拠点病院内で当院が全国トップです。
当科では年間約250例の手術を行っています。肺がんが約190例、転移性肺腫瘍が約35例、縦隔腫瘍が15例で、肺がんの手術数は四国地方で1位です。
また、近年は80歳以上の患者さんの手術も増えており、高齢者に対する肺がん手術数としては全国トップレベル(年間20例以上)です。松山市内だけでなく県外からも来院されます。
安全性についても、手術関連死亡(術後30日以内の死亡率)は、過去5年間で0.2%という好成績です。

肺がんの手術について
肺がんの3大治療は『手術』、『化学療法』、『放射線治療』
肺がんの3大治療は『手術』、『化学療法(抗がん剤治療)』、『放射線治療』です。主にがんの種類(主に小細胞肺がん、非小細胞肺がん)や進行度によって選べる治療が決まってきます。
四国がんセンターでは、手術を行う『呼吸器外科』、化学療法を行う『呼吸器内科』、放射線治療を行う『放射線治療科』の3科が連携して治療を検討しています。
肺がんの手術:肺葉切除+リンパ節郭清を基準に縮小手術から拡大手術まで
手術対象となるのは主にステージⅠ~ⅡとステージⅢAの一部です。 肺は左右対称ではなく、右の図のように右が上中下の3つの袋、左が上下の2つの袋に分かれています。それぞれの袋を『肺葉』と呼び、それぞれ『上葉』、『中葉』、『下葉』と名付けられています。また、左右の肺に囲まれた領域を『縦隔』と呼び、心臓や食道、気管などの重要な臓器がある場所です。肺はリンパ流が発達し、肺から縦隔へ多数のリンパ節が存在します。肺がんはこのリンパ節にも転移しやすいがんです。
肺がんの手術はがんが存在する肺葉と、そこからのリンパ流があると思われるリンパ節を切除する(これをリンパ節郭清と言います)が最も一般的な手術です。しかし、がんが小さく、リンパ節転移の可能性が低い場合や、呼吸機能が弱い患者さんについては、切除範囲の小さい「区域切除」や「部分切除」を行うことがあります。反対に、がんが太い気管支や血管、周囲の臓器に広がっている場合には、周りの臓器の合併切除を行うこともあります。

手術が困難な場合は放射線治療も選択肢
技術的に手術が可能な肺がんであっても、患者さんの体力的な問題がある場合や手術を希望されない場合もあります。四国がんセンターではこのような患者さんに対して、放射線治療も選択肢の一つとして提案しております。
特徴
四国がんセンターでは、これまでに2000件を超える胸腔鏡下手術を行ってきました


肺がんの手術は、従来20~30cmほどの傷で、肋骨を1~2本切断する『開胸手術』が一般的でした。近年では胸腔鏡カメラと器具の発達により、3~4cm前後の傷と3カ所程度の穴で行う『胸腔鏡下手術』が増えてきました。
四国がんセンターでは全手術症例の80%以上を胸腔鏡手術で行っています。
更に、ロボット支援下手術(da Vinci)が2018年4月より保険適応となり、当院でも2019年より行っております。2021年は8例のロボット支援下手術を施行しました。
治験・臨床試験について

四国がんセンターでは積極的に治験を行っています
新薬、新治療法は治験を経て確立していきます。詳しくは『治験とは』のホームページをご覧ください。
ステージが進行した肺がんでは、再発率を下げるために、手術後に抗がん剤治療を追加で行うことがあります。これを、『補助化学療法』と呼びます。呼吸器外科で行っている治験は、主にこの『補助化学療法』の新薬についてです。
外来表
月曜日 |
山下 |
---|---|
火曜日 |
上野 |
水曜日 |
末久 |
木曜日 |
山下 |
金曜日 |
重松 |
※診療担当は変更する場合がありますので、事前にご確認ください。
スタッフ紹介
院長山下 素弘(やました もとひろ)

- 専門領域
肺がん・悪性胸膜中皮腫・縦隔腫瘍
胸腔鏡手術
- 認定資格
-
- 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
- 日本外科学会 外科指導医
- 日本外科学会 外科専門医
- 日本呼吸器学会 呼吸器専門医
- 日本呼吸器外科学会 呼吸器外科専門医
- 臨床研修指導医
院長補佐
第二病棟部長重松 久之(しげまつ ひさゆき)

- 専門領域
肺がん・悪性胸膜中皮腫・縦隔腫瘍
ロボット手術
- 認定資格
-
- 日本外科学会 外科指導医
- 日本外科学会 外科専門医
- 日本呼吸器外科学会 呼吸器外科専門医
- 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
- da Vinci Certificate 取得(ロボット手術)
- 臨床研修指導医
呼吸器外科医長末久 弘(すえひさ ひろし)

- 専門領域
肺がん・悪性胸膜中皮腫・縦隔腫瘍
胸腔鏡手術
- 認定資格
-
- 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
- 日本禁煙学会 専門指導医
- 日本外科学会 外科指導医
- 日本外科学会 外科専門医
- 日本呼吸器外科学会 呼吸器外科専門医
- 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会 呼吸ケア指導士
- 臨床研修指導医
- 肺がんCT検診認定機構 認定医
医師上野 剛(うえの つよし)

- 専門領域
肺がん・悪性胸膜中皮腫・縦隔腫瘍
ロボット手術
- 認定資格
-
- 日本外科学会 外科専門医
- 日本呼吸器外科学会 呼吸器外科専門医
- 日本呼吸器外科学会 胸腔鏡安全技術認定医
- 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
- 麻酔科標榜医
- da Vinci Certificate 取得(ロボット手術)
- 臨床研修指導医
実施中の臨床試験
- 「完全切除されたリンパ節転移陰性の非小細胞肺癌(>2cm)患者に対する、UFTを用いた術後補助化学療法におけるEGFR遺伝子変異の影響」
- 「腫瘍径3cm以下の肺癌における胸膜浸潤の予測因子の検討」の実施について
- 「肺切除術前CTガイド下マーキング症例の検討」の実施について
- 「下葉肺癌における発生部位別にみた肺切除術後の予後の検討」の実施について
- 「通院距離・居住地域が肺癌術後の予後に及ぼす影響について」の実施について
- 「胆道・膵臓癌肺転移切除症例に関する臨床的研究 1.後方視的研究」へご協力のお願い
- 「浸潤成分径3cm以下の浸潤性非小細胞肺癌の胸膜浸潤における予後への影響」について
- 「術中迅速病理診断における腫瘍浸潤径評価の検討」の実施について
- 間質性肺炎合併肺癌の予後予測における各種バイオマーカーの有用性に関する後方視的検討
- 肺癌に対する肺葉切除後の同側再手術に関する検討
- 呼吸器外科手術患者の術後管理に硬膜外麻酔が及ぼす影響の検討
- 進行非小細胞肺癌に対する免疫療法後の肺癌外科手術の安全性に関する研究
- 肺門型の左上葉肺癌に対する、肺動脈形成を伴う肺葉切除術と肺全摘術の手術成績と予後に関する検討
- 2021年に外科手術を施行された肺がん患者のデータベース研究についてのご説明
- 「頭頚部癌および食道癌に対する治療歴が肺悪性腫瘍の外科切除症例に与える影響に関する後方視的調査」へのご協力のお願い
- 当院におけるシスプラチン+ビノレルビン併用術後補助化学療法の検討
- 85歳以上肺癌手術症例の予後に関する検討
- 肺切除後気漏に対するドレーン管理法の多施設共同前向き観察研究
- 研究「肺癌術前療法後の効果判定におけるPERCIST(Positron Emission tomography Response Criteria In Solid Tumors) の有用性を評価する多施設共同後ろ向き臨床試験」の実施について