大腸がん

大腸がんについて

本当に知ってほしいこと:検診を必ずうけましょう!

  1. 1.がんの中で最も多く(女性で2番目、男性で1番)診断され、女性のがんの死因で最多です(男性も3番目に多い)。
  2. 2.検診(便潜血検査)陽性の方→大腸内視鏡検査で、確実に死亡数は低下できます。大腸がん検診(便潜血検査)は、全てのがん検診のなかで唯一の推奨度Aです。
  3. 3.予防方法はありますが、発生を0にはできません。
  4. 4.早期の段階で、自覚症状はほとんどありません。
  5. 5.進行して症状が出ることが多くなります。
  6. 6.確立された治療方法があります。より早期で発見すれば、手術なし(大腸内視鏡検査での治療だけでも治ることも可能です。手術でも、より早期の方が治りやすいとされます。

1.罹患数(新たに診断されるがん)の予測、死亡数の予測

大腸がんは新たに診断される最も多い(男性:最多、女性:2番目)がんです。さらに、大腸がんによる死亡は、がんによる死亡の中で、肺がんに続き2番目(男性:3番目)に多く、女性では最も多い(一番多い)がんです。

参考
国立がん研究センター がん情報サービス
 2019年がん統計予測

2.大腸がん検診(便潜血検査)は、全てのがん検診のなかで唯一の推奨度Aです。

検診特に、検診(便潜血検査)陽性の方⇒大腸内視鏡検査を受けることで確実に死亡数は低下できます。大腸がん検診(便潜血検査)は、全てのがん検診のなかで唯一の推奨度Aです。

参考
科学的根拠に基づくがん検診推進のページ
 がん検診ガイドライン推奨のまとめ

3.運動によりリスクが低下します。

家族歴、肥満、飲酒・哺乳類の加工肉の過剰な摂取などにより、リスクが上昇します。喫煙は、がんの前の状態であるポリープの発生を上昇させます。

4.予防方法だけでは、残念ですが完全には防ぐことはできません。

予防方法だけでは、残念ですが完全には防ぐことはできません。検診(便潜血検査)陽性の方は、大腸内視鏡検査を受けましょう。症状(下痢、便秘、便に血が混じる、便が細い、便が残る感じ、おなかが張る、腹痛、貧血、体重減少など)がある方は、信頼できる医療機関を受診して下さい。(四国がんセンターがん相談支援室 窓口:089-999-1114 無料)

術後の方へ:手術後も禁煙を継続すると死亡率は22%低下する報告があります。→https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29244072

大腸がんの診断

大腸内視鏡検査で腫瘍の一部を採取(生検)して、顕微鏡検査で診断します。必要に応じて、PET-CT検査、CT検査、MRI検査、腹部超音波検査、注腸造影検査(造影剤を肛門から注入して大腸を調べる検査)などを行い、病期を調べます。ポリープの段階で大腸内視鏡下に切除すれば、大腸がんの予防にもなることもわかっています。

大腸がんの病期(ステージ)

大腸内視鏡検査で腫瘍の一部を採取(生検)して、顕微鏡検査で診断します。必要に応じて、PET-CT検査、CT検査、MRI検査、腹部超音波検査、注腸造影検査(造影剤を肛門から注入して大腸を調べる検査)などを行い、病期を調べます。

ステージ0

がんが粘膜内にとどまっている。

ステージⅠ

がんが大腸の壁の筋肉層(固有筋層)までにとどまっている。リンパ節転移はない。

ステージⅡ

がんが大腸の壁の筋肉層の外に浸潤している。リンパ節転移はない。

ステージⅢ

がんの深さに関係なく、リンパ節転移がある。

ステージⅣ

他の臓器への転移や腹膜播種がある。

大腸がんの治療

内視鏡治療

内視鏡治療の対象となるのはステージ0とⅠの一部です。大腸がんを周囲の粘膜や粘膜下層と一緒に切除します。内視鏡治療を行うことが難しかったり、内視鏡治療後にがんが内視鏡治療だけでは治らない状態であることがわかった場合には、手術やその他の治療をおこないます。

手術

手術の対象となるのは、ステージⅠ〜Ⅲと、ステージⅣの一部です。手術では、大腸がんの本体(原発巣)と転移しやすいリンパ節を一括して切除します。従来は開腹手術で行われてきましたが、最近では傷の小さい腹腔鏡手術が行われることが多くなっています。四国がんセンターでは、約7割の患者さんに対して、腹腔鏡手術を行っています。当院には内視鏡手術技術認定医が常勤しており、安全で根治性を損なわない手術を心がけています。
大腸のうち、直腸は肛門に近く、自律神経に囲まれて骨盤内に存在しており、膀胱・前立腺・子宮など他臓器に接しています。直腸がんの手術では、永久的人工肛門や他臓器合併切除が必要となったり、術後に排便機能や排尿機能、男性性機能に影響が出ることがあります。四国がんセンターでは、がんをきれいに取りきることが最も重要と考えて手術を行っています。その上で可能であれば、肛門を温存する手術や、排尿障害や男性性機能を損なわない自律神経温存手術を積極的に行っています。肛門に近いがんは、肛門内括約筋を一部切除することで永久的人工肛門を回避する手術(ISRという手術で、究極の肛門温存手術とされています)を行うことが可能です。また、直腸がんに対しては、2018年4月からロボット支援下腹腔鏡手術が保険治療として認可され、より立体感のある画像で、手ぶれのない繊細な手術が期待されています。

ロボットの性能紹介
腹腔鏡手術の様子
開腹手術のきず(左)と腹腔鏡手術のきず(右)
当院のロボット
ISR(内肛門括約筋切除術)

化学療法(抗がん剤治療)

抗がん剤によってがん細胞を減少させ増殖を抑える治療法です。手術で切除できない、または、転移した大腸がんに対する抗がん剤治療はめざましい進歩を遂げています。がん組織の遺伝子検査を行って、大腸がんの状態や患者さんの体調にとって最適の「標準治療」である抗がん剤を選択することで、がんを完全に治すことは困難ですが、がんを小さくする効果やがんの進行を抑えて長生きする効果がますます期待できるようになりました。また、肝臓の転移が大きくて切除できない場合でも、抗がん剤治療で肝臓の転移が小さくなったら手術をする、ということがあり得ます。他にも、内視鏡治療後の取り残しに対して抗がん剤治療や放射線治療をしたり、手術後の再発予防のために抗がん剤治療を したりすることもあります。さらに、手術後に再発してしまった場合でも、抗がん剤治療をしてから再び手術をすることもあります。四国がんセンターにはそれぞれの領域に治療の専門家がいますので、あらゆる手段を尽くして大腸がんを治すことや患者さんが長生きすることを目指して診療にあたっています。

四国がんセンターは、日本臨床腫瘍グループ(JCOG)大腸がんグループ(http://www.jcog.jp/basic/partner/group/mem_ccsg.htm)に所属する、愛媛県唯一の施設です(2020年3月)。また、大腸癌研究会、腹腔鏡下大腸切除研究会にも所属しています。最近になり、抗がん剤の標準治療がなくなった場合に、がん遺伝子パネル検査が保険適応になり、がんの遺伝子を網羅的に調べる検査ができるようになり、がんの遺伝子の異常に基づいた抗がん剤治療である「がんゲノム医療」が行えるようになりました。新たな治療開発を目的とする臨床研究や、がんの遺伝子異常に基づいた新薬の開発を目的とした治験を、日本や海外の医療機関や製薬会社と協力して多数行っています。