前立腺がん

前立腺がんについて

前立腺がんは増えています

一生涯で前立腺がんになる確率は11人に1人と計算されています。2017年のがん統計予測では胃がんや肺がんについで前立腺がんは男性がんの中で第3位です (国立がん研究センターがん情報サービス; 2018年)。ここまで前立腺がんが増加してきた主な理由は、社会の高齢化と食生活の欧米化です。一昔前まで前立腺がんは腰痛など骨転移の症状が出て初めて診断されていましたが、今は違います。

早期発見が可能になり、完全に治すことが可能ながんになってきました。

診断について

では、どうすれば早期発見できるのでしょうか?それは血液検査です。血液に中にある「PSA」という腫瘍マーカーを測定することでがんの疑いのある人を見つけることができます。

PSAが正常値である4を超えると40%以上、さらに10を超えると75%以上、20を超えるとなんと90%以上の人に前立腺がんが見つかります(当院データ)。血液検査はどこでもできます。かかりつけ医でも可能ですし、各自治体が行っている検診でも可能です。四国がんセンターは、1993年から検診の取り組みを開始しています。
初期の前立腺がんには症状はありません。検診を受け早期発見につとめましょう。

前立腺がんの治療にはリスク分類が重要です。リスク分類は数種類あり、当院では下記のリスク分類を採用しています。

このリスク分類は、治療後の再発のリスクを表しています。

  PSA グリソンスコア 臨床病期

超低リスク

10ng/ml未満

6まで
生検陽性2本まで
陽性の中で面積50%以下

T1c

低リスク

10ng/ml未満

6まで

T1c,T2a

中間リスク

10-20ng/ml

7

T2b-T2c

高リスク

20ng/ml超

8以上

T3a

超高リスク

T3b-T4

治療について ― 手術と放射線

前立腺がんの手術はロボット手術です。ロボット手術といっても正式にはロボット支援手術ですので、現時点ではロボットが手助けをしてくれる手術ということになります。しかし、この手助けは素晴らしいシステムで、これまでの手術の概念を変えてしまいました。

医師は操縦席に座りロボットアームに装着した手術器具をコントロールします。ロボット支援手術の特徴は、(1)自由に動く手術器具と3次元画像により,繊細で安全な手術操作が可能であること、(2)術中出血量の減少と術後早期回復が期待できること、が挙げられます。また尿失禁や性機能を含む機能温存においてロボット支援手術の方が優れていると考えられています。しかし、ここで重要なことはロボットを操縦するのは人だということです。つまりロボットの頭脳は人なのです。いくら道具がよくても緻密な作戦が立てられないとがんとは闘えません。

前立腺がんは放射線治療でもやつけることができます。放射線治療にはいくつかの方法がありますが、ここでは当院が愛媛県下でもいち早く開始したブラキセラピーについて紹介します。
ブラキセラピーは前立腺の内部から放射線を当てる方法です。通常の放射線は体外から当てますので外照射と呼ばれますが、ブラキセラピーは 体内からの照射ですので組織内照射とも呼ばれます。

放射線を密封したカプセルを前立腺の中に入れていきます。カプセルはチタン製で、長さ4.5mm、直径は0.8mmです。
前立腺の大きさで異なりまずが、通常60個から80個挿入します。ブラキセラピーの治療時間は約2時間です。

その他の治療はこちらから

QOLは大事です

前立腺がんの治療法を決める時には、自分のがんがどのような進行度か、悪性度がどの程度かなどの説明を十分に受け、理解することが大切です。また、前立腺がんの治療では、治療後に排尿・排便・性機能に影響を及ぼすことが知られています。
そのため、治療後のからだの変化、特に排尿状態や性機能についても十分理解し、QOL(生活の質)の低下を最小限にとどめることも必要です。前立腺は排尿に関係していますので治療によりどうしても影響を受けてしまいます。我々はなるべく影響が出ないように治療を行いたいと考え実行していますが、治療後の変化をあらかじめ理解していただき、それに対応してもらうことが重要です。この問題に対して、四国がんセンターではこれまでに多くの患者さんに協力いただきQOLデータを集めて解析してきました。

治療法決定時にはそのデータを説明し参考にしてもらっています。特に、根治療法である手術と放射線治療に関しては悩まれる方が多くいます。四国がんセンターではどの治療法も熟知しており、QOLも含めて適切なアドバイスができます。他院からのセカンドオピニオンにも数多く対応していますし、放射線治療医から直接話を聞くこともできます。

さあ皆であなたに適した治療法を決めましょう。

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