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世界と日本の状況・社会背景
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がんの補完代替医療 ―世界の現状―
欧米の先進諸国では、補完代替医療の利用頻度は、近年急速に増加傾向にあります。
がんの種類によって多少の利頻度の差はありますが、おおむね40〜60%のがん患者が、補完代替医療を利用してることが明らかになっています。
そのような現状をふまえ、米国や英国では、国家レベルで補完代替医療の研究・情報発信に取り組んでいます。
なお、これらの国の中でも最も補完代替医療が活用されているドイツでは、鍼治療、ハーブ療法、その他、さまざまな補完代替医療が医療の現場に浸透しています。
科学的根拠に基づいた統合腫瘍学のための臨床実践ガイドライン(2009)のページはこちら >>
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がんの補完代替医療 ―日本の現状―
どれくらいのがん患者さんが補完代替医療を利用しているのでしょうか。
調査する患者さんの現況(手術で完治、再発あり、緩和療法中)によって異なりますが、30〜40%の方が利用されていると考えられます。
では、何を?
圧倒的に多いのが“いわゆる健康食品”です。
それも、キノコ類が多いのがわが国の特徴です。利用する患者さんは、健康食品をクスリと同じように考え、これを飲む(正確には食べるだが)ことによってがんが治ることを期待しています。
利用している患者さんは、そのことを担当医に話している割合は決して高くありません。
なぜなら、“すぐに止めなさい”とか“効きっこない”とかいわれそうだからということです。
がんの補完代替医療に関しては、患者―医療者間のコミュニケーションはうまくいっていません。
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がんの補完代替医療 ―社会的背景―
米国では、国民医療費の高騰に伴い、「政府機関や保険会社が有効性・安全性を認めた補完代替医療」は、健康保険の対象とされるようになりました。
これには、ひとつの原因だけでは発症しない慢性病などに対して、生活習慣など「全体的・全人的」にアプローチする補完代替医療のほうが、「原因撲滅型・対症療法型」の現代西洋医学より効果があるのではないか、という考え方が背景にあります。
わが国は、以前より、漢方薬や鍼灸などの東洋医学の一部が健康保険で認められているため、補完代替医療を受け入れやすい社会的素地を持っていると言えます。
しかしながら、医学的根拠という点では、ほとんどの補完代替医療は検証されていないのが現状です。
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