ドックで行われる検査について

検査一覧

PET-CT

検査の概要

PET検査とCT検査を同時に行う検査です。
PET検査ではFDGという放射線を出すブドウ糖のようなお薬を静脈に注射します。がんは一般的に増殖が速く、エネルギー源としてブドウ糖を多く消費しますのでFDGがたくさん集まります。FDGから出る放射線を検出することでがんを発見することができます。
CT検査はX線で体の断面を撮影する検査で、臓器の形態をくわしく調べることができます。PET検査のみではFDGがどこに集まっているのかわかりにくいことがありますが、CTの画像と重ね合わせることで明瞭になります。またFDGが集まりにくい病変の発見にも役立ちます。

検査の方法

  1. 1.検査前は絶食が必要です。当院がんドックの場合は朝絶食で検査を行います。
  2. 2.FDGを静脈に注射します。
  3. 3.待機室で1時間程度安静にして頂きます。
  4. 4.仰向けに寝た状態で撮影を行います(20~30分)。

がんの診療における有効性について

PET-CT検査は広い範囲を楽に検査でき、がんの転移など、どこにおこるかわからない病変を効率よく発見することができます。治療前の病期診断(がんの進行の程度を診断すること)、治療後の再発の診断などに有効で、がんの診療において重要な検査となっています。当院でも多くのがんでPET-CT検査が行われています。

乳がんの場合

肺がんの場合

PET-CTは胸部CTも兼ねています。
胸部CTは、小さな肺がんを発見するのに有効です。
早期肺がん

検査の限界や注意点について

  • 多くのがんに有効ですがFDGの集まりにくいがんもあります。また炎症、一部の正常組織、尿などにもFDGが集まるため、がんと区別しにくいことがあります。苦手とするがんとしては肝がん、腎がん、胃がん、前立腺がん、小さながんなどがあります(これらのがんでも軽度の集積や併用するCTでの異常所見から病変を発見できることはあります)。このため内視鏡やMRI、超音波検査なども適宜併用が望まれます。
  • 検査時の血糖値が高すぎると病変を検出しにくくなる可能性があります。
  • 少量の放射線被曝があります。

MRI検査(上腹部~下腹部)

強力な磁場と電磁波を用いて体の断層像を見る検査です。肝臓、胆嚢、膵臓、腎臓、膀胱、前立腺(男性)、子宮・卵巣(女性)などを検査します。がんの描出を得意とする拡散強調画像も加えて診断精度を高めています。PET-CT検査で分かりにくい部分を補う役目があります。
検査時間は約30分です。撮影装置内は狭いため閉所が苦手な方は検査ができないことがあります。また検査中は大きな音がしますがご了承ください。
心臓ペースメーカーや除細動器などの電子機器を体内に埋め込んでいる方は検査できません。その他の金属が体内にある方や刺青がある方も危険な場合がありご相談ください。

マンモグラフィ(乳房X線検査)

乳がんによる腫瘤や、石灰化を診断します。乳房を圧迫して撮影するため痛みを伴うことがあります。
シリコン等の豊胸術を受けられた方は、撮影できませんのでご注意ください。

乳がん(白矢印の部分)

上部消化管内視鏡(胃・食道)

内視鏡は粘膜を直接観察する検査で、早期がんの発見に適しています。PET-CTでは粘膜面に薄く広がるような早期胃癌、早期食道がんの診断は難しいので、内視鏡の併用は有効です。
必要な場合には、同意のもとで生検(細胞を採取して顕微鏡でみる検査)を行うことがあります(別料金)。
当院のドックでは鎮静剤は後の検査に影響が出るため使用しておりません。また経鼻内視鏡も行っていません。

早期胃がん(白矢印の部分)

血液検査

腫瘍マーカー

CEA(男性・女性)、PSA(男性)、CA125(女性)を検査します。CEAは代表的な腫瘍マーカーで、大腸・胃・肺・乳房・膵臓などのがんで陽性となります。PSAは前立腺がんを、CA125は卵巣がんを対象とした腫瘍マーカーです。
腫瘍マーカーとは、がん細胞の目印(マーカー)になる物質の総称です。適当な腫瘍マーカーのないがんも少なくありません。血液の腫瘍マーカー検査だけで早期がんを診断することはできません。そのため、当院は画像診断との組み合わせによる検診を行っています。

肝炎ウイルス検査

C型肝炎(HCV抗体)、B型肝炎(HBs抗原)について調べます。慢性肝炎が進行すると肝がんのリスクが高まります。

その他の血液・生化学検査

白血球数、赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット、血小板数
総蛋白、アルブミン、総ビリルビン、GOT(AST)、GPT(ALT)、ALP、γGTP、総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪、血糖、ヘモグロビンA1c、血清アミラーゼ、尿酸、クレアチニン、CRP

胃がんリスク層別化検査

現在胃がんがあるかどうかではなく、胃がん発生のリスクがどの程度あるかを調べる検査です。ピロリ菌抗体検査(ピロリ菌感染の有無)とペプシノゲン検査(胃粘膜の萎縮の有無)を組み合わせて下記のように分類します。A<B<C<Dの順に胃がん発生のリスクが高くなります。またピロリ菌除菌後の方は分類の対象外(E群)となります。

A群 ・・・
ピロリ菌抗体 陰性/ペプシノゲン検査 陰性
おおむね健康的な胃粘膜で、胃の病気になる危険性は低いと考えられます。逆流性食道炎などピロリ菌に関連しない病気には注意しましょう。
ピロリ菌未感染の可能性が高いですが、過去に感染があった場合や現在感染がある場合が一部含まれますので一度は内視鏡検査を受けることが理想的です。
B群 ・・・
ピロリ菌抗体 陽性/ペプシノゲン検査 陰性
少し弱った胃粘膜です。胃・十二指腸潰瘍に注意しましょう。胃がんのリスクもあり内視鏡検査を受けましょう。
C群 ・・・
ピロリ菌抗体 陽性/ペプシノゲン検査 陽性
胃粘膜の萎縮が進んでおり胃がんになりやすいタイプと考えられます。定期的な内視鏡検査をお勧めします。
D群 ・・・
ピロリ菌抗体 陰性/ペプシノゲン検査 陽性
萎縮が非常に進んだ胃粘膜と考えられます。胃がんなどの病気になるリスクがありますので消化器科の専門医にご相談ください。
E群 ・・・
ピロリ菌除菌後
除菌に成功したら、胃がんのリスクは下がりますが、ゼロになるわけではありません。除菌後も内視鏡検査による経過観察が望まれます。

*B,C,D群の方はピロリ菌の除菌について検討が望まれます。消化器科の専門医にご相談ください。

この検査に適していない方

  • ピロリ菌の除菌治療を受けた方
  • 胃切除後の方
  • 明らかな上部消化器症状がある方
  • 上部消化器疾患治療中の方
  • 胃酸を抑える薬であるプロトンポンプ阻害剤(*)を服用中の方
    (*)商品名:タケプロン、オメプラール、オメプラゾン、パリエット、ネキシウム、タケキャブなど
  • 腎不全の方

尿検査

蛋白、糖、潜血などを検査します。

便潜血検査

便に血が混じっていないかを調べます。大腸がんのがん検診として有効であることが証明されている検査です。

喀痰細胞診

肺がんの検査です。痰の中に悪性を疑う細胞がないか調べます。

骨密度測定

骨の骨塩量を測定し、骨粗鬆症の可能性を評価します。DXA法(ごくわずかなX線を用いて測定)により、腰椎と大腿骨頸部の骨密度を測定します。検査中は、5分程度動かずに横になっているだけで、痛みはありません。

CTによる内臓脂肪量測定

PET-CTのCT画像を解析し内臓脂肪型肥満の傾向がないか調べます。(無料検査)

(赤:皮下脂肪 青:内臓脂肪)