治療法の選択に関して

治療法の選択に関して

III期までの治療は手術が基本です。III期の場合には進行しているようであれば抗がん剤治療を併用することがあります。全身状態が悪く手術ができない場合や単腎症例や腎機能障害例などで手術をすれば透析が必要になる場合などはそれぞれ考えなければなりませんが、根治を目指す場合には手術をした後に透析を続けることもあります。どうしてもだめな場合には腎温存療法を考えることになります。
IV期の場合、転移がなく周囲へのがんの浸潤が軽度であればまず手術をしますが、一般的には転移があったり浸潤があったりすることの方が多いので、まず抗がん剤治療を行います。転移があっても、リンパ節転移のみであれば、抗がん剤で縮小効果が得られれば当科では手術で腎尿管全摘除術を行っています。ただし、これはまだ一般的ではありませんので、手術をした方が良いかどうかはよく相談してから決めています。また、肺転移などがあっても抗がん剤治療でよくコントロールされた場合、つまり、転移巣が消失あるいは手術で転移巣も切除可能になった場合ですが、この場合も腎尿管全摘除術を行っています。
一方、転移のある腎盂尿管がんは抗がん剤治療がメインになります。治療効果を見ながらですが、可能であればGC療法を4-6コース行います。また、放射線療法を併用し、治療効果を高めることもあります。

抗がん剤の治療で効果を認めない場合や、体力的に抗がん剤治療が難しい方には、がんによる症状を和らげる緩和治療、精神的ケアなどを行い、QOL(生活の質)の向上に努めます。

(文責:橋根、2013年10月)