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補完代替医療における漢方薬
そもそも漢方薬が補完代替医療に入れてもよいかどうか、ということについて議論が分かれるところですが、西洋医学的な見地からのいわゆるエビデンス(本当に効果があるかどうかの証拠)の情報が不足しているのも事実です。
この状況を踏まえて日本東洋医学会では2001年から漢方治療におけるEBM特別委員会を設置し、エビデンスレベルの高い研究について、順次公開してきています。
その中では“十全大補湯”という処方についての報告が多く、例えば富山医科薬科大学からはこの薬剤の使用で肝硬変患者から肝細胞がんの発生が少なくなると報告されました。
また岐阜大学とその関連施設からは、手術を受けた進行性胃がん患者では使用により生存期間が延長したと報告されました。
(ただし患者数が少なく、観察期間も短いので決定的なことは今後の進行を見る必要があります。)
さらに、手術前に自分の血液(自己血)を貯蔵しておく際にも貧血予防になる可能性が報告されています。
その他、
“大建中湯”腹部手術後の腸閉塞回避に有効であること、
“半夏瀉心湯”がイリノテカンという抗がん剤治療の際に、副作用としての下痢の予防と軽減に有効でること、
“芍薬甘草湯” がパクリタキセルという抗がん剤治療の副作用である筋肉痛・関節痛に有効であること
を報告した論文などが紹介されています。
(http://www.jsom.or.jp/html/ebm_er/allreport.pdf >>に詳細があります)
本来漢方薬処方は同じ症状、病名であっても患者の体質(いわゆる“証“)などにより使い分ける必要があるため、同一処方により明らかにがんに対する効果がある、とする論文は多くはないものの皆無というわけではありません。
現在も国内で前向きに進行中である臨床研究がいくつかあり、補完代替医療の中では比較的エビデンスがそろっている分野であると言えるでしょう。